取り組みのきっかけ、 経緯
不審者事案や通学路の危険箇所が増加するなど子どもを取り巻く環境はより厳しくなっており、 他校区に比べ要介護認定を受ける高齢者の割合も多いことから、このような 地域の特徴をふまえ“高齢者の力を校区の安全・安心へ” を理念に「春日校区歩く子ども 110番」 が平成29 (2017) 年にスタートしました。
また最近では、コロナ禍による高齢者の健康への影響も大変懸念されており、外出して歩いて活動する本事業の効果も期待されています。
取り組みの内容
「春日校区歩く子ども110番」は、現在、メンバー76名で、うち 64名が65歳以上です。合言葉を「無理せず、出来るしこ」に、下校時の見守りパトロールを行っています。 具体的には小学1年生の下校時間にあわせてメンバーは腕章を身に着け、学校、通学路、メンバー自宅前から声をかけたり、散歩の時間とコースをあわせて見守るなど、おのおのの体力や事情にあわせて形態はさまざまです。
活動当初から心がけていることは、子どもたちが交通ルールを守りながらみんなで楽しく安全に帰ることです。 毎年、入学式翌日に行われる新入生交通安全教室に参加し、子どもたちと“お知り合い” になることから始まり、できるだけ子どもが1人にならないように、時には自宅まで同行することもあります。雨の日には親の車での、お迎えのない子どもが寂しい思いをしないように特別に声をかけます。短時間の会話ですが、時に聞き捨てならない、大人がドキッとする言葉や気になる言葉を開くことがあり、その場合は必要に応じて 学校や専門職に連絡、相談します。
取り組みの効果
取り組んでみて良かったことは、毎日学校へ行くことで先生や上級生の子どもたちとも 顔見知りになり気軽に話ができる関係になったことです。その結果、主任児童委員を窓口として1年生の総合学習、生活科の授業では「ありがとうの会」「昔遊び (お手玉、折り紙、コマ回しなど)」の地域の先生役になり、後日、成果発表の会にも招待され子どもたちの成長を見てみんなと笑顔いっぱいの時間を過ごすことができました。
また、学校からは「地域の方に見守っていただいていることを子どもたちが直に感じることが一番ありがたいです。 地域の温かい目が子どもたちを育てていることを感じます」 との言葉をいただき、日々の積み重ねが大事だと感じています。
子どもの成長には目を見張るものがあります。毎年子どもたちからもらうお礼状にはたくさんの感謝や前向きな言葉が書かれていて頼もしく感じるとともに、活動を継続するなかで成長した子どもたちが下級生を連れて登下校する姿を見ることがわれわれの喜びとなっています。
今後の展望
子どもたちのなかには学校・家庭・地域で見せる顔が異なり戸惑う時もありますが、毎日のように顔をあわせることで、それぞれの場所での子どもの頑張りがよく分かるようになりました。 親でもない、先生でもない、「地域のおとな」として子どもたちと話しながら十数分間過ごしています。昔であれば隣近所のおとなが果たしていた役割でしょうか。 歩く子ども110番メンバーを身近なおとなとして、学校と家庭の狭い生活環境だけでなく社会という環境の一端として感じてくれると幸いです。
当初、 私たちが想定していた子どもの「安全」を越え、さまざまな意味をもった「春日校区歩く子ども110番」活動です。 メンバー集めは校区広報紙での募集とお誘いですが、今後は新しく建ったマンションなどの住人の方がたと、もっとつながっていければと考えています。「高齢者が子どもを見守り、子どもたちが高齢者を見守る順繰り、順繰りお互い様!」そのような優しい目をもつ春日校区がわれわれの最終目標です。